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リクルーター制度とは?光と闇がある?本当に必要な制度なのかに迫ります

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[公開日]2021.06.11
[更新日]2021.06.01

リクルーター制度は、学生に直接コンタクトをとる採用手法です。企業の人手不足が進む中、大企業を中心に実施されています。リクルーター制度はメリットだけが注目されがちですが、デメリットもあることをご存じでしょうか。そもそも、リクルーター制度について詳しく知らない人も多いでしょう。

本記事では、リクルーター制度の特徴をふまえ、光と闇に迫ります。リクルーター制度について詳しく知りたい採用担当者は、ぜひ参考にしてください。

リクルーターとは?

リクルーターとは、学生に直接コンタクトをとる従業員のことです。多くの場合、学生と同じ高校・短大・大学の出身者がリクルーターを務めます。
学生は、共通点が多いOB・OGに親しみを感じやすく、気軽に本音を話せるためです。またリクルーター側も学生が置かれている状況を把握しやすく、悩みや疑問に寄り添えます。

少子高齢化などを背景にした企業の人手不足により、従来の新卒一括採用だけでは、優秀な学生の確保は困難です。採用活動の工夫が必要な近年は、これまで以上にリクルーターの活用が注目されています。

リクルーター制度とは?

リクルーター制度とは、従業員の中からリクルーターを選び、学生を対象とした採用活動を行うことです。具体的には、下記の活動を行います。

【リクルーターの主な活動内容】

  • 自社に興味を持っている、または自社が興味を持った学生を集める
  • 自社の情報や魅力を伝える
  • 採用したい学生を選ぶ
  • 採用に向けたサポートや入社への囲い込みを行う
  • 入社にあたってフォローする

リクルーター制度は、高学歴の学生や、従業員の出身校に所属している学生を対象に実施するケースが多い傾向です。リクルーターに内定の決定権限があるかどうかは、企業によって異なります。

では、リクルーター制度は一般的にどのくらい実施されているのでしょうか。下記は、株式会社ディスコ様による、894名の学生を対象としたリクルーター面談の経験について調査したものです。

(出典:2020年卒「リクルーターとの接触経験」|株式会社ディスコ

2018年~2020年卒者の傾向として、約3~5割の学生がリクルーター面談の経験があると分かります。学生の分離別に見ると、理系女子は34.2%と若干低いものの、文系男子・文系女子・理系男子はいずれも約50%です。

学生の争奪戦が激しくなっている中、リクルーター制度を実施する企業は、今後も一定数を維持すると見込まれます。

リクルーターによる面談(リク面)

リクルーターのメインとなる活動が、学生との面談です。一般的には、「リク面」と呼ばれています。

企業によっては、リク面を通常の選考フローと別に実施している場合もあります。多くの場合は、雑談を交えながらフランクな空気の中で行われますが、立派な選考過程です。リク面は、一般的に下記の場所で行われます。

【リク面を行う場所の例】

  • カフェやレストラン
  • 企業の会議室
  • オンライン

リク面で行われる内容には、企業の情報提供や入社意欲の確認、自社に合う・合わないの判断などがあります。大まかな流れは、一般的な面接と同様です。
学生の態度が悪い場合や、自社に相応しくない言動があった場合は、リクルーターから採用担当者に共有されることもあります。

リクルーター制度のメリット

多くの企業から注目を集めているリクルーター制度ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、リクルーター制度のメリットを3つ紹介します。

優秀な人材を早期に囲い込める

リクルーター制度は、優秀な人材を早期に囲い込めるメリットがあります。学生との「面談」であれば、就活解禁とされる3月以前に実施しても問題ありません。

人材の獲得競争が激化している中、インターンなどを利用して学生との早期接触を図る企業は増えています。実際に、株式会社リクルート様が実施した「就職プロセス調査(2022年卒)」によると、2022年卒の大学生における2月1日時点での内定率は9.9%です。2月時点での調査を開始した2016年卒以降、最大の内定率を記録しています。
(出典:就職プロセス調査(2022年卒)2021年2月1日時点内定状況|株式会社リクルート

就活解禁は原則3月であるため、多くの企業が学生と早期に接触している実情が分かります。学生との早期接触が必須な現在、リクルーター制度を効果的に実施できれば、他企業との競争で有利になれるでしょう。

入社後のミスマッチを防げる

入社後のミスマッチを防げる効果もあります。実際の面接よりも学生の素の部分が見えることで、企業との適正度を正確に把握できるためです。通常面接では緊張して本音を話せない学生も、リクルーターとの和やかな空気の中では本音を話しやすくなります。

また、採用サイトや求人からだけでは分からないリアルな情報を知れるため、学生自身も、自分が企業に合うかどうかの事前判断が可能です。通常面接のように、自分が企業に合うか分からないまま選考が進むことを防止できます。

ただし、ミスマッチを防止するためには、リクルーターが自社の情報を正確に伝えることがポイントです。企業やリクルーターの入念な準備も必要だと言えます。

採用計画がスムーズに進む

採用計画がスムーズに進みやすくなる特徴もあります。狙った学生にアプローチできることや学生の意欲を直接感じられることで、採用が効率的になるためです。

リクルーター制度では、「この学生はうちに興味がないな……」「この学生はアプローチを続ければ入社してくれそうだ」と、事前に入社の可能性を判断できます。

通常の選考では、採用活動が計画どおりに進まないことは多々あります。たとえば、「10人の学生を採用したかったのに、内定を承諾した学生は5人だけだった」と、獲得した人材が足りないケースがあるでしょう。また、応募者が多数いても、企業が求める人材がいないケースもあります。

採用競争が激しくなっている近年は、想定外の事態が起こることは珍しくありません。計画がスムーズに進むことは、企業にとって大きなメリットです。

リクルーター制度のデメリット

リクルーター制度は一見するとメリットが多いように思えますが、いくつかのデメリットもあります。リクルーター制度の導入後に後悔しないためにも、デメリットも把握しておきましょう。

リクルーターの質が低いと学生に悪いイメージを与える

学生が企業に対して良いイメージを持つかどうかは、リクルーターの対応に左右されます。リクルーターの間違った対応により学生が不満を抱いた場合、SNSなどで情報が共有される可能性もあるでしょう。多くの学生から悪いイメージを持たれてしまえば、今後の採用活動にも関わります。

リクルーターが学生に悪いイメージを与える原因としては、以下の例があります。

  • しつこく連絡する
  • 乱暴な言葉遣いで相手を傷つける
  • 入社を強要する
  • 合否に影響することをチラつかせて脅す

株式会社ディスコ様では、リクルーターと接触して「良くなかったこと」について調査しています。回答結果は、以下のとおりです。

(出典:2020年卒「リクルーターとの接触経験」|株式会社ディスコ

「回数や頻度が多く負担だった」「高圧的な態度などの不快な言動があった」など、リクルーターにストレスや不快感を抱いている学生が一定数いることが分かります。ストレスが大きくなった学生は、フェードアウトしてしまう場合もあるでしょう。

過去には、内定間近の就活生に対し、不安につけこんだ男性リクルーターがセクハラを行った事例もあります。大きな事件に発展すれば、学生を傷つけるだけでなく、社会的な企業のイメージを落とし経営を悪化させる事態になりかねません。

リクルーター制度は、学生にとって悪い面もあることを覚えておきましょう。

導入にあたっての手間がかかる

リクルーター制度の導入にあたっては、さまざまな手間が発生するため、関係する従業員の負担が大きくなります。

リクルーター制度を運用するまでの主な過程は、以下のとおりです。

  1. アプローチする学校を選定
  2. リクルーターに相応しい従業員の選定
  3. リクルーターへの制度説明・教育
  4. 学生へのアプローチ開始

リクルーター制度を効果的に運用するには、上記のステップを踏みながらの入念な準備が必要です。そのため、採用担当者の業務量が多くなります。

また、リクルーターは、人事部門以外の従業員からも選定するため、通常業務とリクルーター業務を同時にこなさなければなりません。場合によっては、リクルーターに選ばれた従業員の通常業務を上司や同僚がカバーするケースもあるでしょう。

リクルーター制度の導入にあたっては、関係者の負担も考慮する必要があります。

アプローチできる人材が限定されてしまう

アプローチできる人材が限定されてしまう点もデメリットです。

多くの場合、リクルーター制度は、既存従業員の出身校にいる学生やインターンに来てくれた学生など、特定のネットワークを対象に行われます。さらに、リク面は基本的に1対1で行うため、一度に複数の学生には対応できません。

同じネットワークからの採用を続けると、人材の傾向が偏る場合があるでしょう。人材の多様性に欠け、企業の活性化を妨げてしまうかもしれません。

リクルーター制度は、運用方法を間違えると企業成長の障害となり得るのです。

リクルーター制度は本当に必要か

リクルーター制度は、メリット・デメリットの両方があり、学生にとっても是非が分かれる制度です。そのため、企業の実情に応じて導入を検討する必要があります。

たとえば、毎年学生の確保が遅れているのであれば、リクルーター制度による改善が期待できます。一方で、リクルーターを十分に教育できる体制や準備ができないのであれば、無理に実施しても学生に悪い印象を与える可能性が高いでしょう。

リクルーター制度は、良い面だけを見て安易に実施しても失敗につながります。本記事の内容を参考に、リクルーター制度の特徴やメリット・デメリットを踏まえて、慎重に検討してみてください。

この記事を書いた人

紺野天地

紺野天地

フリーランスのライター。4年間地方公務員として人事労務を担当し、1年間の民間企業勤務(教育系)を経てフリーライターに。人事労務の実務経験や自身の多様な働き方を活かし、HR系のメディアを中心に記事を執筆しています。

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