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固定残業代は適切に表記する義務がある!正しい表記を解説

[公開日]2019.03.15
[更新日]2019.05.22

採用担当者のみなさんは、求人票に記載する「残業代」の正しい表記方法についてご存知ですか?

・固定残業代を賃金に含めている

・みなし残業制を採用している

上記の給与体系を取っている会社は、求人票へ「残業代」の表記を法令で義務づけているので、注意が必要です。

今回は、法令で表記が義務付けされている「残業代」について説明します。

残業代とは

残業代とは、従業員が労働時間を超えて働いた際に、会社から支払われる対価です。

実は、「労働時間」には2種類あり、種類の違いによって支払われる残業代も変わります。まずは、残業代の基準になる労働時間について見てみましょう。

所定労働時間と法定労働時間

労働時間には、会社で定められた所定労働時間と労働基準法で定めている法定労働時間の2種類があります。

残業代は、所定労働時間を超えた時点で発生し、法定労働時間を超えた場合は、法律で定められた割増賃金を支払うことが必要です。

所定労働時間とは

所定労働時間とは、会社の就業規則や雇用契約などで定められた、休憩時間を除く始業から就業までの時間です。所定労働時間は、法定労働時間の範囲内で会社の裁量によって決定されます。 

法定労働時間とは

法定労働時間とは、労働基準法により定められた労働時間のことで、休憩時間を除く始業から就業までの時間で18時間以内・週40時間以内と定められています。

正社員・アルバイトなど雇用形態を問わず、すべての従業員に対して適用される法律です。

残業代が発生する基準

残業代は法定労働時間を超えた場合だけでなく、所定労働時間を超えた際にも発生します。しかし、支払われる残業代の計算基準が異なるので注意が必要です。

所定労働時間を超えた場合(法定内残業)の残業代

所定労働時間を超え、法定労働時間以内での残業を法定内残業と呼びます。

法定内の残業代は、月額の給与を基礎時給に換算した金額に残業時間を掛けて計算し、割増賃金は発生しません。

法定労働時間を超えた場合(法定外残業)の残業代

法定労働時間を超える残業は法定外残業と呼びます。

法定外残業は、基礎時給に加え、割増賃金が別途支払われます。深夜残業や法定休日などの条件によって割増賃金率は変わるので注意しましょう。

残業代(割増賃金)の賃金率

法定労働時間を超えて、残業した場合の割増賃金率は下記の通りです。

  残業時の条件 割増賃金率
A 法定労働時間を超えて働かせた場合 25%
B 法定休日に働かせた場合 35%
C 深夜の時間帯(22時~5時)に働かせた場合 25%
D 時間外労働が深夜に及んだ場合(AC 50%
E 休日労働が深夜に及んだ場合(BC 60%

 

一定額で支給される固定残業代とは

これまで説明してきた通り、基本的に残業代は、所定労働時間・法定労働時間を超えた時点で都度発生する対価です。しかし、企業の中には、あらかじめ一定の時間外労働や休日労働を想定して、毎月定額の残業代を支払う固定残業制を採用している企業もあります。

ここでは、固定残業代について詳しく見てみましょう。

固定残業代とは

固定残業代とは、あらかじめ従業員に通知することを前提として、一定の時間外労働分、例えば月30時間分などを給与や手当として毎月定額で支払います。「定額残業代」や「みなし残業代」といった呼び方がありますが、すべて同じ残業代を意味します。

企業が固定残業制を採用する理由は、不測な残業代の請求を防ぐためや無駄な時間外労働の抑制でしょう。

固定残業代は従業員と合意した一定の残業時間に満たなくても、定額で支給する必要があります。

また、一定の残業時間を超えた分の残業代は全額支払わなければなりません。

「みなし残業」と「みなし労働時間制」の混同に注意しましょう

みなし残業とは一般的には固定残業代のことを指します。

みなし労働時間制とは、営業担当者や在宅勤務者など、社外での勤務が多く労働時間の管理が難しい社員に対して、1日の労働時間をあらかじめ一定のみなし時間分働いたものとして給与を支給する制度です。

みなし残業との違いは、みなし残業は事前に定められた残業分を超えた時間外労働分は残業代が支給されるのに対して、みなし労働時間制はみなした労働時間の中に残業が加味されているので支給されない点です。

固定残業代の表示義務について

固定残業代は、従業員の合意の上で実施され、企業は求人広告を掲載する際の賃金表示の時点で、適切に明示する義務があります。

固定残業代の表記が義務化された背景とは

2015101日に施行された「若者雇用促進法」によって、固定残業代を適用する場合は、求人広告でその旨を明記することが義務化されました。義務化された背景には、固定残業代をめぐる従業員・雇用主間のトラブルが頻発したことがあります。

固定残業代は定額で月額支払われることから、従業員側からすると給与との区別がつきにくい仕組みと言えます。

にも関わらず、求人票での記述について明確な規定がなかったため、悪質な企業によって故意に固定残業が給与と見分けがつかない記載がされ、企業に悪意がなくとも求職者が賃金条件を誤認識したことが頻発しました。

そこで従業員・雇用主間のトラブルを回避するために、求人・募集の段階で「固定残業代」を明示することが義務づけられました。

 固定残業代3つの表示義務

固定残業代制を採用する企業は、募集要項や求人票に以下3つの内容を明示する必要があります。

①固定残業代を除いた基本給の額

②固定残業代に関する労働時間数とその金額

③固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨の説明

固定残業代の正しい表記例とNG

実際に明示義務がある3つの内容を含んだ求人票の見本例とNG例を見てみましょう。

○正しい表記例

①基本給:月給25万円

②固定残業代4万円/30時間相当分を含む

30時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給する

×NG

①基本給:月給25万円

②月給に固定残業手当を含む

③固定残業分を超える割増賃金は別途支給

NG例は、固定残業代の金額と、それに対応する残業時間が記載されていないため、適切ではない固定残業代の表示となります。

固定残業代を正しく表記しなかった場合のペナルティについて

募集要項や求人票での固定残業代の表記が正確でない場合、法律上で企業への罰則はありません。

ただし、雇用者から固定残業代分の労働時間も「取り決めのない普通の残業」として割増賃金を請求される場合があるため、注意が必要です。
固定残業代の表記が適切でなかったため、従業員が働き始めた日に遡って残業代の支給を裁判所から命じられたケースもあります。

固定残業代を正しく表記してトラブルを防ごう

固定残業代は求人票に正しく表記し、規定に基づいて、従業員の合意を得る必要があります。

世間から「ブラック企業」と呼ばれないよう正しい表記・運用を行い、クリーンな企業を目指しましょう。

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