ここ数年、テクノロジーの発展と共に勢いを伸ばしているVR市場ですが、近年では採用活動においてもVRが活かされるケースが増えています。
仮想空間を現実世界であるかのように体験できるVRは、求職者に対して企業の良さをわかりやすく伝えられることが大きな特徴といえるでしょう。また、コロナ禍で人が集まることが難しい昨今においてより高い関心を集めています。
今回の記事ではVRの概要をはじめ、採用活動でVRを使うメリットや活用例について取り上げてみました。
目次
採用領域での利用が増えるVR
VRとは「バーチャルリアリティ(virtual reality)」のことで、わかりやすくいえば「目の前にある現実とは違う現実を体験できる」技術です。
また2016年は「VR元年」と呼ばれ、一般消費者向けのVRデバイスが相次いで発売されました。それから約5年が経過した現在も、VR市場の伸びは加速しており、目が離せないテクノロジーのひとつとして注目を集めています。
そのことは、2020年11月にテクノロジー専門調査会社のIDCによって行われた調査からも見て取れるでしょう。調査によると、VRのグローバル市場は2024年までの間に年率54%で成長することが予測されています。
参考:2021年は「真のVR元年」に?消費者・企業・制作テクノロジー動向に見る、予想されるVRトレンド (1/2):MarkeZine(マーケジン)
また、2020年には自己完結型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の普及が進んだことに加え、第5世代移動通信システム「5G」の導入が本格化したこともあって、VR市場でも大きな変化が見られた年でした。
VRの普及が進むに伴い、従来のゲーム領域だけに留まらず、医療や採用といった分野においてもその活躍が注目されています。
採用領域におけるVR活用
VRは採用領域においても活かされており、昨今ではVRを積極的に取り入れる企業が増えています。
とはいえ、採用活動にVRを活用していると聞いたところで具体的なイメージが湧きづらい方が多いかもしれません。採用におけるVRの活用例として、「VR会社見学」や「VR仕事体験」などが挙げられるほか、VRで企業理念を伝えるケースも見受けられます。
また、コロナ禍で企業が一堂に会する合同説明会はもちろん、企業ごとの会社説明会も開催しづらいことも相まって、VRをその代替として活用する傾向が今後続くと予想されるでしょう。
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採用活動にVRを使うメリット
採用活動にVRを取り入れるメリットとして、主に次の2点が挙げられます。
- 遠隔でも現地にいるような臨場感&没入感を味わえる
- 入社後のミスマッチが起こりにくくなる
それぞれについて、見ていきましょう。
遠隔でも現地にいるような臨場感&没入感を味わえる
インターネット技術の普及に伴い、日本国内のみならず世界各地に向けて企業の概要や取り組みについて発信できるようになりました。しかし、動画や写真を使って企業の雰囲気を伝えられたとしても、オフィスの全容や実際に社員がどのように働いているのかまでを体感として理解してもらうのは難しいでしょう。
また、会社説明会に足を運んでもらっても、限られた時間内で企業の紹介ビデオや口頭による説明を受けただけで企業の良さを伝えきるのはそう簡単なことではありません。
そうした状況下でVRを活用することにより、遠隔地においても現地にいるような臨場感並びに没入感を味わえるようになります。HP上で動画や写真を駆使するだけでは伝えることが難しい、企業の空気や雰囲気などをVRを通じて伝えられることは大きなメリットでしょう。
そして、地方の学生や海外に住んでいる人にとっては、わざわざ費用を払って企業に足を運ぶ必要がなくなり、時間およびコスト面においての平等性も担保されます。
入社後のミスマッチが起こりにくくなる
先に軽く触れたように、従来の採用活動ではどうしても企業の良さや実際の様子を伝えにくく、入社後に早期退職を引き起こしやすいことが問題視されていました。
たとえば、製薬会社で薬の研究・開発を担っているような場合、衛生上の問題や安全管理の難しさからリアルな現場を求職者に見てもらうことが難しいでしょう。しかしVRを活用することで、そうした現場も安全かつ気軽に臨場感を持って体験できるようになり、求職者に理解を深めてもらうことが可能です。
このように、VRを上手に活用することで企業側と入社した人材との間でミスマッチを防ぐことができ、早期退職の防止にもつながります。
採用活動でのVR活用例
ここまで、VRの概要と採用活動に取り入れるメリットについてご紹介しましたが、実際のVRを活用している企業をいくつかピックアップしてみました。よければ、VR導入にあたっての参考にしてみてください。
売り場や物流センターの雰囲気をVRで体験
株式会社ライフコーポレーション様では、運営する食品スーパー「ライフ」における採用活動でVRを活用しています。
職場に対する理解を深めてもらうことを目的としており、私たちが普段よく利用する売り場だけでなく、物流センターや陳列・加工工程といった他のプロセスをVRを通じて体験が可能です。
一連の流れをVRを通じて体験してもらうことで、企業としての強みはもちろん、それぞれの場所における職場の雰囲気をリアルに感じてもらえます。
実際にVRを体験した求職者からも、「会社案内やWebで見るよりも簡単に理解することができ、面白味を感じることができた」などといった声が上がっており、VRの活用が功を奏した事例だといえるでしょう。
また、株式会社ライフコーポレーション様ではVRを活用し出してから合同説明会の動員数が増加傾向にあるということです。
参考:大手スーパーの採用にVR、職場理解スムーズに (2018年10月2日) – エキサイトニュース
VRを活用し数千人が集まる就活イベントを開催
第一生命グループ様では今年2月、2022年卒業予定の学生を対象にVRを活用した就職活動イベントを開催しました。新型コロナウィルスの感染拡大が懸念される中で、できるだけ「リアル」を体験してもらおうと企画されたこのイベントには約5,000人の学生から事前登録があり、その関心の高さがうかがい知れます。
このイベントではまず、学生があらかじめ用意された約50種類のアバターの中から自分が使用したいものを選び、例年イベントを開いていた渋谷駅周辺を模したVR空間へ移動します。
そこでは社員の講演や座談会に参加できるほか、文字や音声によるチャット機能を駆使して、他の就活生ともコミュニケーションを取ることも可能です。
職場見学の一環でVRを取り入れる企業が多い中、こうしたゲーム風の就活イベントの開催は珍しく、話題性を集めるといった意味でもVRのよい活用事例だといえるでしょう。
参考:第一生命の就活イベント、VRで開催 「あつ森」意識?:朝日新聞デジタル
オンラインバーチャル合同会社説明会を開催
専門家のマッチング支援を目的としたWebサービス「アイデアカベウチ」を運営するフューチャーコンビニエント株式会社様では、コロナ禍で開催が難しくなった合同説明会をVRを活用して開催することを決定しました。
従来のオンライン説明会では双方のコミュニケーションを取ることが難しいとされてきましたが、VRを活用することでそうした問題を解消できます。また、企業担当者とゆっくり話せるのはもちろん、合同説明会のデメリットでもあった各企業間における時間被りが発生しないといったメリットもあるでしょう。
参加企業および共催企業についても随時募集していることから、興味がある方はぜひ一度チェックしてみてください。
まとめ
今回は採用活動におけるVRの活用法や、その例についてご紹介しました。
企業のリアルを知ってもらう上で、VRを採用活動に取り入れる企業は今なお増えており、今後もその勢いは加速するものとみられています。また、記事内でも述べましたが、入社後のミスマッチや早期退職を防止するといった観点からもVRは非常に役立つでしょう。
時代の波に乗り遅れないためにも、VRについての理解を深め、採用活動への導入を検討してみることをおすすめします。
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