【最新】2023年の東京の最低賃金は?全国平均値や企業への影響を解説

例年、企業には「最低賃金の引き上げ」に伴う対応が求められます。
今年も例外ではなく、東京の「1113円」をはじめ、全国の都道府県で最低賃金が引き上げられました。

最低賃金の引き上げに対応しないと、企業にはペナルティが科せられます。
「今年はいくらに引き上げられたのか」
「最低賃金の引き上げが自社にどんな影響をおよぼすのか」
などを整理したうえで、確実に対応することが必要です。

そこで当記事では、2023年の最低賃金について、東京都を中心にした全国の金額や企業への影響、違反した場合の罰則などを解説します。
最低賃金について知りたい人、これから対応する企業は、ぜひ当記事をお役立てください!

2023年の東京都の最低賃金

2023年の東京都の最低賃金は「時給1113円」です。
2022年は1072円でしたが、2023年10月1日付けで41円の引き上げが行われることになりました。これは過去最高の引き上げ額で、全国的にも大幅に最低賃金が引き上げられています。

【出典】
東京都最低賃金を1113円に引き上げます|東京労働局

2023年の全国都道府県別の最低賃金

ここでは、全国47都道府県の最低賃金を紹介します。
「賃金額」の欄にカッコ書きで記載しているのは改定前の金額です。全国で最低賃金が大幅にアップしたことが分かります。

都道府県 賃金額
(改定前)
適用月日 都道府県 賃金額
(改定前)
適用月日
北海道 960(920) 10月1日 滋賀 967(927) 10月1日
青森 898(853) 10月7日 京都 1008(968) 10月6日
岩手 893(854) 10月4日 大阪 1064(1023) 10月1日
宮城 923(883) 10月1日 兵庫 1001(960) 10月1日
秋田 897(853) 10月1日 奈良 936(896) 10月1日
山形 900(854) 10月14日 和歌山 929(889) 10月1日
福島 900(858) 10月1日 鳥取 900(854) 10月5日
茨城 953(911) 10月1日 島根 904(857) 10月6日
栃木 954(913) 10月1日 岡山 932(892) 10月1日
群馬 935(895) 10月5日 広島 970(930) 10月1日
埼玉 1028(987) 10月1日 山口 928(888) 10月1日
千葉 1026(984) 10月1日 徳島 896(855) 10月1日
東京 1113(1072) 10月1日 香川 918(878) 10月1日
神奈川 1112(1071) 10月1日 愛媛 897(853) 10月6日
新潟 931(890) 10月1日 高知 897(853) 10月8日
富山 948(908) 10月1日 福岡 941(900) 10月6日
石川 933(891) 10月4日 佐賀 900(853) 10月14日
福井 931(888) 10月1日 長崎 898(853) 10月13日
山梨 938(898) 10月1日 熊本 898(853) 10月8日
長野 948(908) 10月1日 大分 899(854) 10月6日
岐阜 950(910) 10月1日 宮崎 897(853) 10月6日
静岡 984(944) 10月1日 鹿児島 897(853) 10月6日
愛知 1027(986) 10月1日 沖縄 896(853) 10月8日
三重 973(933) 10月1日      

最低賃金の引き上げが決まる時期

最低賃金は、基本的に毎年10月に改定されます。
具体的には、まず中央最低賃金審議会で引き上げ額の目安が設定され、その後、都道府県ごとの地方最低賃金審議会でまとめられる流れです。

例年の改定スケジュールを下表に記します。

例年の最低賃金の引き上げスケジュール(目安)
6月下旬 中央最低賃金審議会で議論開始
7月 中央最低賃金審議会で引き上げ額が取りまとめられる
8月 都道府県ごとの地方最低賃金審議会で改定額が取りまとめられる
10月上旬 改定額を適用

最低賃金の引き上げが行われた例

参考までに、過去の最低賃金引き上げについて事例を紹介します。

2022年、東京の最低賃金は31円引き上げられ「1072円」に。当時、過去最高の引き上げ額となりました。
これは、日本の物価上昇が進む中で、労働条件を改善することで経済の健全化を目指すためだとされています。

2023年の最低賃金が2022年を上回る引き上げ額だったことを踏まえると、最低賃金が大幅に引き上げられる流れは、来年移行も続く可能性があります。

最低賃金の確認・計算方法

一口に「賃金」と言っても、企業が支払う賃金には基本給や通勤手当、時間外勤務手当などさまざまな種類があります。
では、「最低賃金」とは具体的にどの賃金が対象となり、1時間あたりの賃金が最低賃金を満たすには、どのように計算するとよいのでしょうか。

ここからは、最低賃金の対象と計算方法について詳しく解説します。

最低賃金の対象

最低賃金の対象となるのは「毎月支払われる基本賃金」です。
具体的には、下記の賃金を「除外したもの」が最低賃金の対象となります。

【最低賃金から除外される賃金】

  • 結婚手当などの臨時に支払われる賃金
  • 賞与など1か月を超えた期間分が支払われる賃金
  • 時間外割増賃金など所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
  • 休日割増賃金など所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
  • 深夜割増賃金など午後10時~午前5時の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
  • 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

また、下記は厚生労働省のページで公表されている図です。

最低賃金の対象となる賃金

(出典:最低賃金の対象となる賃金|厚生労働省

「基本給」と一部を除いた「諸手当」が最低賃金の対象となることを頭に留めておくとよいでしょう。

時給制の場合の計算

では、自社の賃金が最低賃金を満たしているかを確認するための計算方法を紹介します。

まず、時給制の場合の確認方法は下記のとおりです。

自社の時給≧最低賃金(東京都:1113円)

時給制の計算方法はシンプルで、自社の時給そのものが最低賃金以上であれば問題ありません。

例えば、時給1,000円の場合は最低賃金を満たしておらず、時給1,200円であれば最低賃金を満たしています。

日給制の場合の計算

下記は、日給制を採用している場合の計算方法です。

自社の日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金(東京都:1113円)

【例】

日給:10,000円、住宅手当:20,000円、所定労働時間8時間で月10日勤務

日給=10,000円+(20,000円÷10日)=12,000円
自社の最低賃金額=12,000円÷8時間=1,500円
よって、東京都の最低賃金額1113円を上回っています。

月給制の場合の計算

月給制の場合の確認方法は下記のとおりです。

月給÷1か月の平均所定労働時間≧最低賃金(東京都:1113円)

【例】

月給:200,000円、住宅手当:20,000円、職務手当:20,000円、時間外勤務手当:30,000円、所定労働時間8時間で1年間の所定労働日数は250日

まず、最低賃金の対象外となる時間外勤務手当の金額を引きます。
→200,000円+20,000円+20,000円-30,000円=210,000円

210,000円を時給に換算します。
自社の最低賃金額=210,000円×12か月÷250日÷8時間=1,260円
よって、東京都の最低賃金額1113円を上回っています。

【参考】
最低賃金額以上かどうかを確認する方法|厚生労働省

最低賃金の引き上げが及ぼす影響

最低賃金引き上げは、労働市場に大きな影響を及ぼします。
引き上げにより労働者の生活水準向上が期待されますが、一方で企業にとっては賃金負担の増加が課題となり、特に中小企業への負担が懸念されます。

ここでは、企業が受ける影響について解説します。

人件費の増加

最低賃金の引き上げにより、企業は人件費の増加に直面します。
これは特に小規模事業者にとって負担が大きく、予算が圧迫されることで、「利益をもっとあげてくれ」というように、従業員に対しての圧力に変わる可能性があります。

とはいえ、労働者の収入が増えるため、生活の安定感が向上するでしょう。
企業が賃金負担を効果的に管理できれば、従業員の幸福度が高められるというメリットがあります。

新たな採用の困難化

企業が新たな従業員を採用する難しさが増す可能性があります。

また、高い賃金水準が求人市場を変化させ、企業は競争激化と採用難の両方に対処しなければならない状況にもなり得ます。
理想的な人材を採用するには、採用プロセスの効率化や福利厚生の改善など、賃金以外の部分での工夫も重要です。

扶養内で働く人材の不足

最低賃金引き上げにより、扶養内で働く労働者に対する影響も考えられます。
主婦を中心に、それまでの働き方では扶養内で働くことができなくなり、労働自体を避ける人が出てくるかもしれないのです。

結果として、従業員の家計が不安定になるなどの影響を及ぼすことも懸念されます。

扶養内で働く人材を減らさないためには、労働時間を調整するなどの工夫が必要です。

従業員のモチベーション低下

意外なところで、従業員のモチベーション低下につながるケースもあります。
賃金が上がる一方で、企業が経済的に厳しい状況に置かれる可能性があるためです。

例えば、従業員が「うちの会社、経営状況が良くないらしいよ」という話を聞いたら、自社への不安感は高まるでしょうし、それによりモチベーションが下がる人も多いはずです。
企業には、賃金制度を再設計したり、労働環境を工夫したり、モチベーションを維持するための施策が求められます。

最低賃金の引き上げで企業ができる対策

最低賃金引き上げによる企業のマイナスの影響を防ぐために、いくつかできることがあります。ここでは、最低賃金の引き上げに伴う企業の対策について紹介します。

従業員のスキルアップを促す

人件費の増加をカバーするために、企業は従業員のスキルアップを積極的に支援することがポイントです。
一人ひとりのスキルが向上することで、必要以上に人員を増やす必要がなくなり、人件費が膨れ上がるのを防止できます。

資格取得プログラムの提供や研修の充実化を通じて、従業員の能力向上を図り、組織全体の生産性を高めましょう。これは企業と従業員の双方にとってWin-Winとなる戦略です。

設備投資を行う

設備投資を積極的に行い、業務の効率化を図ることも、最低賃金の引き上げに対応する方法のひとつです。
例えば、採用管理ツールを導入して、求人情報や応募者情報、採用進捗を一元管理できるようになれば、採用活動のプロセスが大きく効率化します。

結果として、採用活動にかける人件費を節約できるでしょう。

新技術の導入や省エネ設備の整備は、ランニングコストこそかかりますが、長い目で見ると企業のコスト削減や生産力向上に寄与し、競争力を維持する一助となります。

労働時間の短縮に取り組む

既存の労働時間を見直して、必要以上に長く働かせないようにすることも大切です。労働時間が短縮されて、人件費を節約することができます。

テレワークの導入など、働き方をより柔軟にすることも一つの手です。労働者との合意のもとで効果的な労働時間管理を実現し、生産性を高めつつコストを削減できます。

最低賃金引き上げ前に採用する

少しでも負担を軽くしたい場合、最低賃金の引き上げ前に、新たな従業員を採用する戦略を検討する方法もあります。

とはいえ、賃金の見直しは基本的に毎年行われますし、採用を急ぐことでミスマッチが生じてしまえば本末転倒です。
迅速かつ的確な採用ができる場合に限り、選択肢のひとつとして検討することがおすすめです。

最低賃金を違反した際の罰則

最低賃金よりも低い賃金を従業員に支給したり、労働契約を結んだりした場合、最低賃金法に違反したものとして、企業には罰則が科せられることがあります。

下記は、最低賃金に違反した場合の罰則です。

・最低賃金額との差額を支払わなければならない
・地域別最低賃金を下回る場合、50万円以下の罰金(最低賃金法第9条、第40条)
・特定(産業別)最低賃金額を下回る場合、30万円以下の罰金(労働基準法第120条)

また、最近はSNSや口コミサイトなどにより、企業の情報が容易に共有されるようになっています。
違反した企業の口コミが広がることで、採用活動に影響をおよぼしたり、組織内外の信頼性を損なったりする可能性もあるため、罰則に対しては敏感になりすぎるくらいが丁度よいでしょう。

ありがちな違反ケース

特定のケースにおいて、「最低賃金に満たなくても問題ない」と勘違いされていることがあります。下記は、特に多い違反ケースです。

  • 使用期間中や研修中は適用されないと思っていた
  • 賃金が歩合制なので適用されないと思っていた
  • 最低賃金に満たないことを従業員が納得してくれたので回避できると思っていた

上記は、いかなる場合においても最低賃金法や労働基準法に違反したものとしてみなされます。仮に企業側に悪意がない場合でも違反になるため、違反しないよう慎重に運用することが重要です。

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まとめ

2023年の東京都の最低賃金は1113円で、翌年から41円の大幅引き上げとなりました。これは過去最高の引き上げ額で、全国の自治体でも同様です。

最低賃金の引き上げは従業員の収入が上がる一方で、企業の負担が増加する懸念があります。また、対応しない場合は罰則が科せられることも……。企業は負担を軽減する対策を練りつつも、慎重かつ確実に対応しましょう。

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【参考】
最低賃金制度とは|厚生労働省

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