「HR」の意味とは?今後HRを取り巻く環境はどうなっていくのか?【人事担当者必見】

「HR」は、人事に関わるうえで知っておくべき用語のひとつです。特に近年は、少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革などの影響で、HRを重要視する動きが強くなっています。

しかし、HRの意味を知らない人は多いのではないでしょうか。また、「何となく知っているけれど、詳しくは説明できない……」と曖昧なまま理解している人もいるでしょう。

本記事では、「HR」の意味を詳しく紹介します。HRに関する今後の動向も解説するため、企業の人事担当者はぜひ参考にしてください。

「HR」の意味とは?

HRは、「Human Resource」の略であり、「人的資源」を意味します。
企業経営で特に欠かせない資源は「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つだと言われており、このうち「ヒト」を表す用語が「人的資源」です。

近年の日本では、少子高齢化に伴い労働人口が減少しています。一方で、働き方改革やITの発展などにより人材が流動化・多様化していることが現状です。
激しく変化する社会で企業が成長するためには、一人ひとりの従業員が最大限に能力を発揮できる環境を整備しなければなりません。そのため、HRは特に注目を集めている分野となっています。

HRは、企業における人的資源の活用に対して、幅広く使用される用語です。身近な例を挙げると、採用や人材育成、給与計算などの業務もHRに含まれます。
「HR=企業における人的資源の活用」と理解しておきましょう。

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「HR」と「人事」の違い

「HR」と混同されやすい用語のひとつが「人事」です。HRと人事は、日本語にすると似た意味を持ちますが、本質的な意味は異なります。

人事は、企業における人材の処遇に関わる部門・業務のことです。採用や人材育成などは、人事部門の代表的な業務として挙げられます。日本における人事部は、「人材を管理し、企業をサポートする立場」と位置付けられているケースが多い傾向です。

一方で、HRは、特定の部門や業務を指す用語ではありません。企業における「人的資源の活用」を幅広く指す用語です。たとえば、就業規則の管理や給与計算などをはじめとした「労務」の分野もHRに含まれます。また、立場に関係なく、人的資源を踏まえた企業経営や事業戦略についての検討などもHRの一部です。

人事は、あくまでHRに含まれるひとつの領域であり、同等の関係ではないことを理解しておきましょう。

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「HR」に含まれる領域

HRへの理解を深めるためには、HRに含まれる領域の把握も重要です。
ここからは、HRに含まれる業務と業界を詳しく解説します。

HRの業界領域

HR業界は、大きく以下の4つに分けられます。

【HR業界の4つの領域】

HR業界の領域 内容
採用 経営目標の達成に向け、自社に最適な人材の採用
人材育成 従業員の能力向上に向けた教育の計画・実施
人事労務 従業員が働きやすい職場環境の整備
システム・業務ツール 企業のHRに関する業務を効率化するためのシステム・ツール開発

HR業界と似ている業界のひとつが「人材業界」です。人材業界とHR業界は、同じものと考えられていることがありますが、厳密に言うと異なります。

具体的に、人材業界の領域は以下の4つです。

【人材業界の4つの領域】

人材業界の領域 内容
人材紹介 求職者と企業のマッチング
人材派遣 企業のニーズに合った従業員の派遣
求人広告 メディアなどへの求人広告掲載による人材の募集
人材コンサルタント 企業で行う研修への講師派遣、人材活用に関するコンサルタント

基本的に、人材業界は求職者と企業を結びつけることが主な事業内容です。
ただし、人材業界とHR業界を同じものとして紹介しているサイトも多くあります。そのため、本質的には違う業界だと理解したうえで、状況に応じた柔軟な解釈が望ましいでしょう。

HRの業務領域

HRの業務領域は、企業の人的資源に関わる幅広い内容が該当します。大きくは、人事・労務・勤怠の3つの業務領域に分けられます。

以下は、領域ごとに該当する業務内容をまとめた表です。

【HRの業務領域】

領域 主な業務内容
人事 採用、人材配置・異動、人事評価、研修・育成
労務 入退社の手続き、社会保険の手続き、給与計算、安全衛生、福利厚生
勤怠 勤怠管理、有給休暇の管理

企業によっては、上記の業務を1人の担当者が兼務している場合もあります。また、中小企業などの規模が小さい企業では、人事部門を設けていないケースもあるでしょう。

担当者や部門の有無にかかわらず、人的資源の活用に関する業務は、すべてHRの業務領域だと考えてください。

今後の「HR」の動向

今後のHRの動向としては、「従業員の能力を最大限に引き出すこと」がポイントになると見込まれます。

労働人口が減少する中で企業が成長するためには、一人ひとりの人的資源を最大限に活かさなければなりません。そのためには、組織のHR部門による戦略的な人材マネジメントが重要です。単なる組織のサポート的な立場ではなく、企業経営を活性化させる立場としての役割が必要となります。

ここからは、今後の動向をさらに深掘りして見ていきましょう。

コロナ禍における人事施策の変化

HRにおける最新の傾向を知るために、コロナ禍における人事施策の変化について整理します。
下表は、コロナ禍における働き方の変化が人事制度に与えた影響を調査したものです。

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出典:人事306名に聞く、With/Afterコロナ禍の人事施策はどのように変わるのか|リクルートマネジメントソリューションズ

「育成の重要性が高まっている」と感じている担当者は8割を超えています。また、目標設定や評価についての重要性を認識している担当者も多い傾向です。

コロナ禍による経営停滞や働き方の変化を受け、従業員の育成による能力底上げの必要性が高まっていると言えます。また、個々の従業員に合った目標の設定や、能力を正しく評価できる環境の整備も求められていると言えるでしょう。

コロナ禍による人事業務のデジタル化

新型コロナウイルスの流行に伴い、人事部門の働き方も変化しています。
特に、人事業務のデジタル化が急速に進んでいる状況です。

新型コロナウイルスの感染を防止するためにリモートワークが増え、人事部門においてもWeb上で業務を完結させる必要性が高くなりました。

たとえば、HRの代表業務とも言える採用活動は、いまやWebでの採用説明会や面接が主流です。コロナ禍で重要視されている育成面では、リモートワークでも高い育成効果を生むために、オンライン上で成長を実感できる仕組みの整備が進んでいます。

これまでも業務効率化や生産性向上の観点からITの活用は注目されていたものの、必要性が明確でなかったことから、後回しにされていた状況でした。
しかし、新型コロナウイルスの影響で対面業務が減り、リモートワークが普及したことで、人事部門のデジタル・AI活用が拡大しています。

HRテックの活用による生産性の向上と業務効率化

従業員の能力を最大限に引き出すためには、「HRテック」を活用するケースが増えると予想できます。HRテックとは、「HR」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語であり、ITの力を使ってHRの生産性を高めるサービスです。

HRテックには、主に以下のようなサービスがあります。

  • 採用管理システム
  • タレントマネジメントシステム
  • 勤怠管理システム
  • 人事管理システム
  • 給与計算システム など

たとえば、育成により従業員の能力を底上げしても、能力を発揮できる部署に配置しなければ生産性は向上しません。適材適所に配置するためには、担当者の主観によらず、従業員の能力を客観的に分析する必要があります。

その場合、タレントマネジメントシステムを使用することで、各部署における最適なスキルを持った従業員をひと目で把握可能です。また、効率的な管理が可能となり、本業務に注力できるようになるメリットもあります。

しかし、本当にHRテックに需要があるのか気になる人もいるでしょう。
下記は、市場調査を実施している株式会社シード・プランニング様による「HRテクノロジー市場規模 推計・予測2017年-23年(2019年実施)」を引用したものです。

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HRテクノロジー市場規模 推計・予測2017年-23年(出典:HRテクノロジーの市場規模を算出|株式会社シード・プランニング

2017年から2023年にかけて、HRテック市場全体の市場規模は約4倍になると予想されています。新型コロナウイルスの流行も相まって、クラウド上での業務管理が可能となるシステムの活用は、ますます加速する可能性もあるでしょう。

自社におけるHRの課題を抽出したうえで、最適なシステムの導入を検討してください。

まとめ

HRとは、「Human Resource」の略であり、人的資源のことです。一般的には、「企業における人的資源の活用」を意味します。

HRと混同されやすい用語のひとつが「人事」です。人事は、採用や研修など、人材の処遇に関わる部門・業務を指します。あくまで、人事はHRの一部だと覚えておきましょう。

今後のHRの動向としては、「従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すこと」が重要視されるでしょう。そのためにも、HRテックサービスの活用による業務効率化や生産性向上が進むと見込まれます。

労働人口の減少や人材の多様化、働き方の変化など、さまざまな要因を背景にHRの重要性は高まっています。ぜひ、本記事の内容を、自社におけるHRに役立ててください。

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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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