カスタマーサクセスからひとり人事へ。かどまいさんが大切にする「メンバーと事業への情熱」

門野妹(かどのまい)さん、通称かどまいさんは、学生時代に営業インターンとしてスタートアップに入社。その後就職をし、カスタマーサクセスの仕事を担当します。しかし、社長からの打診で入社2年目で人事に抜擢され、人事のファーストキャリアがスタート。

本記事では、門野さんの人事で大切にしている価値観、SNS運用や発信のコツについて伺いました。

目次

「どこでも生きていけそう」を証明するため、インドへ留学

ーー現在の業務内容について簡単に教えてください。

顧客対応を行うカスタマーサクセスとして株式会社ペイミーに入社しました。クライアントに向けて、契約後の導入支援や活用状況のモニタリング、定期フォロー業務などに従事しました。2021年からは人事業務を中心に担当し、評価制度の運用、MVV設計・改定、採用業務など労務以外の人事業務をほぼすべて受け持っています。

ーーありがとうございます。少しさかのぼって大学時代にインド留学していた話をお聞きしたいのですが、なにかきっかけがあったのでしょうか?

もともと、母がグローバル志向が強い人で、幼少期はホームファミリーとして海外からの留学生を自宅に招いていました。その影響もあって、いつか留学に行きたいなと考えていたんです。しかし、金銭的な問題で長引いてしまって……。ようやく大学時代に留学する機会を得たので、せっかくならおもしろい国に行こうということで、1年休学してインドへ留学することを決めました。

初めはお腹を壊したり言葉の壁にぶつかったりしましたが、2週間ぐらいで電車を乗り回したり、ボロ屋台でご飯を食べたりして現地に馴染んでいきました。

ーー最初の1ヶ月くらいはホームシックになる話をよく耳にしますが、2週間ってかなり適応能力高いですよね?

そうですね。昔から「どこでも生きていけそう」とよく言われてましたね。インドみたいなカオスな国でやっていけたら、どこでも生きていける証明になるなと思って、インドを選んだ節もあります。(笑)

ーーインドでの留学生活を終えて、どのような経緯でユニラボに入社したのでしょうか?

インドの留学先はカリキュラムが少なかったので、空いた時間で日本駐在員向けにフリーペーパーを制作する会社で営業インターンをしていました。ただ、事業理解を十分にできず営業に苦労しました。その経験から、帰国したら営業力を身につけられる長期インターンをしたいと思って、いろいろな会社を見ていたところユニラボと出会いました。最初はユニラボに就職する予定ではなくて、インターン中も就職活動を続けていました。ただ、働くうちに会社の雰囲気やメンバー同士の仲の良さに惹かれて、新卒で入社することを決めました。

ーーユニラボでは最初はカスタマーサクセス、その後人事も兼任したそうですね。これは自ら希望を出したんですか?

当時、ユニラボには人事部がなくて社長が兼務していました。実は1年目のときにコーポレート推進プロジェクトを任されて、会社のカルチャー作りや社内コミュニケーションの改善などを行っていました。そのようなこともあり、社長から「人事を兼務してみない?」と打診されて、人事が何をする人かわからぬままに二つ返事で引き受けました。

ーー人事になることに不安はなかったんですか?

特に不安はなくて「なんか面白そう!」と思っていました。アカウント情報とエージェントの連絡先、採用人数、採用時期だけ伝えられた感じで。ものすごく裁量が大きかったというか、丸投げされたというか(笑)

当時は、スカウトを打ったり候補者さんの対応をしたり、エージェントさんと交渉したりと、手探りで業務をしてましたが、フィードバックをくれるメンバーもいなかったので、合っているのかわからなくてそれが一番大変でした。

ーーそれを切り抜けたポイントはありますか?

「五反田HR会」と呼ばれる人事の集まりがあって、そこで人事の横のつながりを作れて、採用や人事の知識やノウハウもいろいろ聞くことができました。あと大きかったのは、人事部長の方が中途入社し、業務の棚卸、業務整理をしてくれたことですね。これにより、優先度の高い人事業務に専念することができました。

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人事は「代表の拡声器」である

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ーー現職である株式会社ペイミーに入社した経緯についてお聞きしても良いですか?

株式会社ユニラボでは1人人事として20名の中途社員を採用するなど、一定の成果を出していました。2019年からは人事専任となったのですが、日々候補者やメンバーと事業の話をするなかで、心から事業に共感していないことに気付いてしまったんですね。やはり、人事でいる限りは事業サイドの理解と関心は重要だと思っているので、今のままだと表面上でしか会社を語れないし、自分に嘘をつくような状況になってしまうと思いました。

じゃあ何に興味があるのかと考えてみたら、人事業務で触れる機会の多かったSaaSサービスだったんですね。ペイミーもそのうちの1つで、ユニラボでも導入をしていました。私も苦学生だったので、『お金に縛られず、若者たちがもっと自由に挑戦できる世界をつくりたい』というビジョンに共感していました。挑戦したいけどお金が原因であきらめている人の背中を押せる。そんな存在になりたいなと思い、株式会社ペイミーへの転職を決めました。

ーー自分の会社の事業を楽しく話せるかどうかって、当たり前かもしれませんが、人事にとってすごく重要なことですよね。

採用業務では、他社と比較して自社のどこに魅力があるのか、いかに候補者にマッチしているかを伝えないといけないので、事業理解は必要ですね。入社後も事業について長く考えたり悩んだりするので、そこに寄り添っていくとなると事業を愛せてそれについて深く語れることが大事かなと。

最近、人事は「代表の拡声器」だなと思っています。代表が社外に向けて事業ビジョンの発信したことを汲み取って、広げていく役割だと思うんですね。

ーー代表の拡声器!とてもわかりやすい言葉ですね……!!他に人事業務で大切にしていることはありますか?

決めつけずに、しっかりと相手の立場になって理解するようにしています。あと、私だけ頑張るのではなくて、このコミュニケーションのあり方を会社のメンバーにも伝えています。このあり方というかカルチャーを広げるにはバリューみたいな仕組みでも良いですし、「Slack上でこういうスタンプ押したほうが気持ち良くない?」といったささいな取り組みでも良くて。皆がコミュニケーションにもっと気を遣えば組織はよくなると思うんです。

ーーオンラインで接触頻度が減ったからこそ、より繊細なコミュニケーションが求められますよね。

以前はそれこそオフィスで「あの人疲れているな」と様子がわかったり、飲みに行った時に「◯◯さん、最近元気ないよね」みたいに情報を聞けましたが、今はそれも難しくなっているので、ささいな変化に気付かないといけませんね。

ーーこれは危険だな、モチベーションが下がっているなと気付く瞬間は?

チャット上で出現頻度が減ってくると心配ですね。声を発したり文字を書いたりするのってエネルギー使うじゃないですか。頻度が落ちた時は、個別に連絡するようにしてますね。

あと「助けてほしい」と声をあげるのは大変ですが、「あの人元気なさそう」みたいな話はしやすいと思うので、気付きやすい人にお願いしていますね。

ーーそのためには、相談しやすい雰囲気が大事だと思うのですが、かどまいさんは何か意識していることはありますか?

自分と関わる人を楽しませたい「芸人精神」みたいなのは根底にありますね。なんでもないことでもSlackで発言したり、ミーティングでも関係ない発言をしたり、ユーモアを挟んだりというのは意識的にやっているかもしれません。

フォロワー数より、”人間関係”を大切に

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ーーTwitterの活用で意識していることはありますか?

フォローやいいね!、リツイートなど、こちらから積極的にアクションするようにしてます。毎日なにかしらのリアクションをくれる人ってやっぱり気になるじゃないですか。

ーーかどまいさんのTwitterを拝見していると、他社の方の引用ツイートもされていますよね。

私が拡散して欲しいと思っているということは、他社さんも拡散して欲しいということなので。拡散をお願いしたいときに応援してもらえるように、先にGiveをしておくのは大事かなと思いますね。

ーー結局、地道に人間関係を作ることが大事ということですね。

そうですね。このご時世なんで難しいかもしれませんが、オフラインでつながるのはやっぱり強いですね。会ったときに「いつもTwitter見てますよ」と言ったり、会う前にTwitterをチェックしたりすると、会話の糸口にもなるし、相手もうれしいですよね。

ーー反対に「こういうツイートはしない」みたいなルールはありますか?

炎上マーケティングはしないように心がけています。悪目立ちすると会社にも影響ありますし、それでフォロワーやいいね!が増えても、良い資産にはならないじゃないですか。あと、オフィシャルの発信では、社内と社外のイメージのギャップが大きくならないように、できる限り実態に沿った形で発信するようにしています。

インドで学んだ、壊す価値

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ーー前職で培った人事の経験が活きたと感じるエピソードを教えてください。

前職ではバリュー設計とバリュー改定のプロジェクトに携わらせていただいたのですが、その経験が活きていると感じます。ペイミーでは去年12月の体制変更のタイミングで、MMVを刷新する話が出たんですね。約3ヶ月全社ミーティングを2、3回やって、経営陣とも膝詰めて話をして、最終的にはバリューの改定で最終着地しました。

ーーすごいですね。そのまま経験が活きてますね。

MMVの設計や改定って正解がないのでコントロールが難しい領域なのですが、そこを経験でカバーできたかなと思います。バリューを発表するタイミングで明らかにメンバーのモチベーションが上がっているのがわかったし、日々メンバーも使ってくれているので、本当にやって良かったです。

ーーMVVの設計もそうですが、スタートアップってカオスな状態で何かを壊したり作ったりする、そんな状況が多いのかなと思いました。スタートアップだからこそのやりがいや魅力はありますか?

そもそも壊せるのがスタートアップの魅力だと思いますね。規模が大きくなると、ゼロから考えたり、ガラッと変えたりすることは現実的に難しくなるじゃないですか。

少し話が脱線しますが、インドの人はそれぞれ推し神様がいるんですね。創造神が人気かと思いきや、それよりも破壊神がめちゃくちゃ人気で。「何で一番人気なの?」と理由を聞いたら「破壊がなければ創造がないでしょ。良くするためには破壊が必要だから」と言われて。それは今でも強く頭に残っていますね。日本だと破壊はネガティブなイメージが定着していますが、壊すことは良いことだと私は思っていますね。

ーー今後の展望について教えてください。

今まで誰かに最終決定を委ねてきてしまった気がします。他人よがりにならずに決めたことに対して責任を持てる人事になりたいですね。社内外で信頼される人事になれば回り回って事業にも返ってくると思うので。

採用業務は一通り経験できたので、評価制度の構築や目標設計、マネージャーの人材育成といったスキルを磨いていきたいですね。特に、人材育成に関しては本当に難しいなと思っているので(笑)業務を通して習得していきたいですね。

編集後記

かどまいさんのポジティブシンキングや人を楽しませる姿勢といった素敵な部分が全面に伝わるインタビューでした。

特に、人事は「代表の拡声器」という部分が印象的でした。人事は会社の顔であり、会社の良さを社内外に伝える役割だからこそ、深く事業理解をしておくことが重要ですよね。

株式会社ペイミー様、門野様、今回の取材に応じていただきありがとうございました!

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株式会社ペイミー コーポレート部人事 門野 妹

2017年4月株式会社ユニラボに1年以上の長期インターンを経て新卒入社。営業、CSの後、一人目人事となり社員15名→50名までのグロースを経験。2020年4月現職の株式会社ペイミーにカスタマーサクセスとして入社。現在は人事と兼務。

■SNSアカウント
Twitter: https://twitter.com/kadomai1112
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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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