日本経済の景気回復の影響もあり、最近では正社員採用のニーズが高まっていますが、一方で、働き方の多様化によってアルバイト・パート採用の重要度も増してきました。組織の重要な戦力として、アルバイト・パート労働者の存在感は増すばかりです。
これまで、正社員を補佐するサポート的な役割として考えられてきた、アルバイト・パート労働者ですが、近年では店舗をアルバイト・パートだけで運営したり、場合によっては、店長や役職者のポジションに任命することも珍しくはありません。
企業がアルバイト・パートを組織の重要な戦力として考え、採用にも力を入れているかと思いますが、一方で、早期離職の改善策に頭を悩ませる人事・採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、早期離職につながる問題点やアルバイトの定着率を上げるための対策について解説します。
目次
離職率・定着率とは?
アルバイト・パートスタッフをはじめとする労働者の「離職率」とは、一定期間の中で在籍者がどの程度退職したかを示す数値です。一方、「定着率」とは、採用後にどのくらいの割合のスタッフが継続勤務しているかを示します。
【離職率・定着率の計算式】
- 離職率=(期間中に退職したスタッフ数 ÷ 期初の在籍スタッフ数)×100
- 定着率=(期間終了時も在籍しているスタッフ数 ÷ 期初の在籍スタッフ数)×100
これらの数字を算出することで、自社のアルバイト運用がうまくいっているか、あるいはどこに改善の余地があるのかを把握できます。離職率が注目されやすいですが、定着率はアルバイトを長期的に戦力化するためには欠かせない指標です。
アルバイトの平均離職率と定着率
令和6年上半期雇用動向調査結果の概要によると、パートタイム労働者の離職率は下記のとおりです。なおこの場合の「パートタイム労働者」とは、「常用労働者のうち、1日の所定労働時間がその事業所の一般の労働者より短い者」を指すので、アルバイト・パート以外の雇用形態も含む場合があります。
令和6年上半期 | 令和5年上半期 | |
離職率 | 12.6% | 13.5% |
定着率 | 87.4% | 86.5% |
令和6年上半期について、産業別に見ると「宿泊業,飲食サービス業」が17.9%ともっとも高く、「電気・ガス・熱供給・水道業」が17.2%、「教育,学習支援業」が15.6%と続きます。
アルバイト定着率の計算方法
アルバイト定着率は、冒頭でも触れたとおり下記のように計算できます。
定着率(%)=(期間終了時点でも在籍しているアルバイト数 ÷ 期初在籍アルバイト数)×100
例えば、期間開始時にアルバイトスタッフが10名在籍していて、期間終了時には8名が継続勤務していた場合、定着率は80%となります。期間を半年や1年など企業の区切りに合わせて設定し、定期的に算出して推移を追うことが重要です。
【期間設定の例】
- 半年ごと(4月〜9月、10月〜3月)
- 四半期ごと(4〜6月、7〜9月、10〜12月、1〜3月)
- 通年(1〜12月)
企業によっては、例えば「8月に離職が多い」など離職者に一定の傾向があるかもしれません。その場合「7月の繁忙期にアルバイトの負担が大きいのかもしれない」など定着率を上げるための対策を立てることもできます。
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離職率の高さから起こる問題点
アルバイトは、一定期間の後、進学や就職で離職が発生することが少なくありません。とはいえ早期離職者が多い事態は、事業の安定化のためにも、解決したいと考える企業は多いでしょう。採用コストや教育に費やしたコストを考えても早期離職は大きな負担につながります。
ここからは、アルバイトが続かない職場に起こりうる問題点について説明します。
採用・育成コストの上昇
アルバイトがすぐに辞めてしまう職場では、求人広告や紹介手数料などの採用費が何度も発生し、研修も毎回やり直しになります。そのため、採用・育成のためのコストがかさんでしまいます。
例えば飲食店が求人サイトやフリーペーパーに求人掲載をすると、1回で数十万円単位の追加コストがかさむうえ、先輩スタッフが新人のレジ操作や接客マナーを1から教えるため、その指導にかかる時間と労働力が大幅に増加します。
採用難易度の上昇
近年は昔に比べて、企業の評判が広まりやすくなっています。離職率が高い印象が広まると、「すぐ辞めたくなるほど過酷な環境」という認識を持たれやすく、応募者が敬遠する傾向が強まります。
口コミサイトやSNSで「現場が常に人手不足」と発信されると、更に募集をかけても応募数が伸び悩み、採用がいっそう難しくなるという悪循環に陥りかねません。
業務効率の低下やミスの増加
アルバイトの入れ替わりが激しいと、常に新人を抱える状態になりがちで、教育のための先輩スタッフも割くことになります。しかも業務習熟がなかなか進まないので、例えば居酒屋やファーストフード店のようなピークタイムが明確な業態では、レジ操作やオーダー確認を不慣れな新人が対応してミスや遅延が増えるでしょう。
顧客からのクレームが多発したり、先輩スタッフが新人教育に追われ自分の業務がおろそかになって疲弊し、さらなる離職を招くリスクもあります。
離職率が高くなる原因
ではアルバイトが続かない背景には、どのような理由があるのでしょうか。離職率の高さにつながりやすい原因について解説します。
制度・待遇面に不満がある
アルバイトスタッフにも責任のある業務を任せている職場では、賃金や手当が割に合わないと感じられると、早期退職が増えやすくなります。例えばドラッグストアや大手コンビニチェーンなど、正社員とほぼ同様にクレーム対応や在庫管理を負担させる一方で、時給が低いまま据え置かれているケースでは「こんなに負担が大きいなら、もっと楽な職場に変えよう」と思われやすいでしょう。
ここ数年、政府主導で最低賃金の値上げが段階的に行われており、「同一労働、同一賃金」への転換が進められています。正社員と同等の責任を持った職務を、アルバイト・パートスタッフが担うのであれば、その責任と労働に対する、妥当性・納得性のある賃金体制が求めれます。
仕事内容にギャップがある
求人票や面接で「補助的な業務が中心です」と説明されていたのに、実際は体力的・精神的に重い作業が多い場合、入社して数週間ほどで辞めてしまうケースが続出します。介護施設で入浴介助や排せつ介助を想定以上に任される、イベントスタッフで夜間や早朝の設営に参加しなければならないなど、初期のイメージと実態が大きくかけ離れていると、スタッフが「話が違う」と感じてしまうのです。
教育や研修が実施されない
早期離職への最初のハードルと言われているのが「入社後14日間」です。働き始めの期間は、不慣れなことも多く、また職場環境面でも気軽に相談できる人がいないといった不安から、離職への気持ちが高まりがちです。
特にカフェやアパレル店などで、具体的なマニュアルがなく「先輩を見ながら覚えて」と丸投げされると、要領の得られないまま不安が膨らみ、早々に退職を決意するスタッフが増えます。小さなつまずきで、この仕事には向いていないと自己判断してしまわないように、初期研修の充実とフォローアップ体制をしっかりと考えていきましょう。
人間関係が良くない
職場の人間関係が殺伐としていたり、現場の声を全く取り入れない一方的なトップダウン形式が続いたりすると、アルバイトは自分の意見を言えずストレスを溜めがちです。
特に飲食業やサービス業のように忙しさに波がある現場では、スタッフ同士の助け合いが重要になりますが、ギスギスした雰囲気ではカバーし合う余裕が生まれません。結果としてスタッフ同士のトラブルが起きやすくなり、やがて大量離職につながってしまいます。
アルバイトの定着率を上げるための対策
ここからは具体的な対策についてです。アルバイト・パートスタッフの定着率向上を促すには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。アルバイトの離職防止につながる改善策について解説します。
募集要項と仕事内容にギャップがないか確認する
仕事内容を簡略化しすぎれば相手に伝わりませんし、しっかり伝えようと長くしすぎると読まれにくくなります。大切なのは、具体性と文量のバランスです。求職者の目線を持ち、どんな内容だと「入社後の自分」をイメージしやすいか考えましょう。
【改善策の一例】
- 募集要項に具体的な業務内容やシフト条件をしっかり記載
- 面接時に「繁忙期のシフト」や「業務の難易度」などをオープンに伝える
- 面接の段階で実際に働く様子を見てもらう
制度・待遇面の改善
仕事の成熟度に合わせた、明確な昇格・昇給制度を整えましょう。ステップアップが見える化することで、より上位ポジションへのチャレンジ意欲が生まれ、スタッフの成長と定着を実現することができます。評価制度の見える化(透明性)は、多くの企業で取り入れられています。
【改善策の一例】
- アルバイトに対する明確な昇格・昇給制度の整備
- 評価基準を可視化し、責任範囲や成果に応じて報酬アップが期待できる仕組み
- 福利厚生(交通費支給、社員割引、食事補助など)の充実
新人教育やフォロー体制の仕組みを整える
入社後、2週間〜1ヶ月の研修カリキュラムを作成し、現場メンバーと上長とで、進捗を確認しあいましょう。特に、育成担当者と新スタッフとの振り返り面談は、1日5分でも行うようにしていきましょう。できるだけ、心の不安を取り除いてあげることで、不安が安心、そして信頼へと変わっていきます。
【改善策の一例】
- 入社後1カ月程度の研修プランを作成
- 1日5分程度のミーティングや面談で、不安や疑問を早期に解消
- メンター(先輩スタッフ)を付けて、OJTを円滑に進める
個々の状況に合わせたモチベーションコントロール
ひと言にアルバイト・パートといって、それぞれに働き方や就業に対する思いに違いがあります。学生層、主婦層、フリーター層、シニア層では、働く目的や将来設計が変わってきます。それぞれに合わせたモチベーションの維持に取り組むことで、早期離職や定着率が大幅に改善します。
【具体的な対策/学生の場合】
学業と両立した就業を望む可能性が高く、テスト期間中や長期休み中(里帰り)の柔軟なシフトの調整を望みます。働き方に柔軟性を求めることができれば、意欲的に働いてくれる傾向にあります。また、学生同士のネットワークから、新規スタッフの紹介も生まれやすいのが特徴です。
【具体的な対策/主婦の場合】
仕事に慣れ、生活のリズムが掴めてくると、長期に渡って粘り強く働いてくれるのが特徴です。ただ、スタート時は、仕事が覚えられるのか強い不安を抱く傾向がありますので、初期研修やフォローをこまめに行っていくことが肝心です。また、小額であっても定期的な賃金アップや評価面談を実施することで、必要とされている意識が生まれます。
【具体的な対策/フリーターの場合】
将来的には正社員や安定したポジションでの就業を望んでいる方が多く、成長感やスキルアップを感じる働き方を提案できるかがポイントとなります。明確な評価制度やキャリアアップ制度を提示するか、もしくは正社員への途を示すことで、モチベーションも高まります。
社員やリーダーとのコミュニケーション不足を解消
社員もアルバイト・パートも分け隔てなく、会社のイベントやパーティに招待し、共に喜びを分かち合う方針を取っている企業もあります。同じ会社のメンバーとして社員と同等に事業に参加してもらい、アルバイト・パートからの声も上層部にあげる仕組みを導入することもおすすめです。
アルバイト・パートスタッフが会社の重要な戦力であることを会社として示し、やりがいや責任感を与えることで、高いモチベーションを保てます。
【改善策の一例】
- 社員や上司とアルバイトが同じテーブルでディスカッションできる仕組み
- 全体ミーティングや懇親会などでアルバイトの意見も積極的にヒアリング
- アルバイトが成果を出したらきちんと評価し、達成感を共有する
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まとめ
早期離職の対策は、辞めさせない対策ではなく、長く続けたいと思ってもらえるような取り組みが不可欠です。先輩方のフォロー体制はもちろんですが、会社全体として、アルバイト・パート労働者をどういう意識で迎えているかが問われます。
今回お伝えした改善策を実践していただき、離職率の改善につながればと思います。
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