介護業界の人手不足を解消するには?深刻化する原因や対策、事例をご紹介

介護士とご婦人が笑っている写真

近年、介護業界の人手不足が深刻です。
介護業界の有効求人倍率は全業種の平均と比べて高く、加えて定着率も低いので、多くの施設が頭を抱えています。

介護業界の採用状況を改善するためにはどうしたら良いのでしょうか。今回は介護業界が抱える採用課題と、その解決方法についてお伝えします。

介護業界の人手不足の背景と実態

少子高齢化が加速する日本において、介護業界の人手不足は深刻な社会問題です。
まずは、この問題の背景について解説します。

介護業界における人手不足の背景

高齢化

(出典:令和6年版 高齢社会白書

内閣府が公表している高齢社会白書によると、令和5年10月1日時点で日本の総人口は1億2,435万人となっており、65歳以上が3,623万人と日本の人口の29.1%を占めていることが分かります。

昨年の割合が29.0%、一昨年の割合が28.9%ということから、今後も高齢者の割合は増加傾向にあると見込まれます。

少子化

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(出典:令和6年版 高齢社会白書

高齢者の割合が増加傾向にある一方で、出生数は減少を続けており、令和52年には45万人
になると推計されています。

また、出生数の減少は生産年齢人口(15〜64歳)にも影響を及ぼします。
2000年の8,622万人から2020年には7,509万人まで減少しました。

生産年齢人口は今後も減少すると見込まれており、2030年には7,076万人、2050年には5,540万人まで減ると推計されています。

介護業界における人手不足の実態

厚生労働省がまとめる第8期介護保険事業計画によると、介護職員の必要数は2023年度に約233万人、2025年度には約243万人です。この数値を達成するには、毎年約5万人の増員が必要になります。

しかし、2021年度時点での介護職員数は214.9万人。しかも令和元年度から令和3年度の2年間で約4万人しか増えておらず、現時点で必要数を確保するのは難しいことが見込まれます。

(出典:介護人財確保に向けた取組|厚生労働省

地方と都市部の人手不足の差

次に、地方と都市部の人手不足の傾向について紹介します。

下記は平成30年時点のものではありますが、各都道府県の有効求人倍率がまとめられた表です。

【地域別の介護職の有効求人倍率(平成30年8月)】

介護職の有効求人倍率

(出典:介護人材の処遇改善について|厚生労働省

有効求人倍率がもっとも高いのは、東京都の有効求人倍率6.97倍。これは、1人の求職者を約7つの事業所が争っていることを意味します。他にも、愛知県6.49倍、大阪府5.01倍など、介護職の人材確保に悩んでいるエリアは都市部に多い傾向です。

とはいえ、全国的に見ても2倍を切っている都道府県はなく、すべてのエリアで人手が足りていないことが分かります。

介護を必要とする高齢者の人口は都市部で増加傾向に

下記は高齢社会白書より、都市の規模別に2045年までの推移予測がまとめられた表です。

都市規模別の65歳以上人口指数

(出典:令和3年版高齢社会白書(全体版)高齢化の状況|内閣府

今後、65歳以上の人口は大きな都市ほど増加する傾向にあります。規模が小さい都市ではすでに65歳以上の人口が増えきっており、今後は横ばいか減少の動きになるとみられています。

労働人口は限られているため、ただ人手を増やすだけでは拡大するニーズに対応できません。「限られた人材で業務をこなすための工夫」と「人材確保」の両輪で対応策を考えることが大切です。

なぜ介護業界は採用が難しいのか?その原因

介護業界で新規の人材を採用するのが困難な理由はなんでしょうか。ボトルネックとなっている要因を探りました。

3K職場のイメージ

多くの人は、介護業界に対して、きつい、汚い、危険の3拍子そろった3K職場のイメージを持っています。きついと汚いに関しては三大介護といわれる「入浴介助・食事介助・排泄介助」が当てはまり、介護職として現場に臨む上で避けては通れません。

また、介護中に介護者が腰を痛めたり、認知症の被介護者に傷つけられる可能性があるなど危険も伴います。もちろん、被介護者の転倒や迷子、容体急変などの危険な場面に遭遇することもあります。

こういった業務のハードルの高さで人手が足りないにも関わらず、なかなか応募が集まりません。

人間関係に問題がある

介護現場の人間関係に悩む人は少なくありません。

令和4年度 介護労働実態調査結果によると、介護仕事の離職理由について、「職場の人間関係に問題があったため」と回答した人は、男性が29.6%、女性が26.9%。全体で27.5%であり、数ある退職理由の中でトップの数値です。
(出典:令和4年度 介護労働実態調査結果について|公益財団法人 介護労働安定センター

視点を変えると、人間関係が良い職場は多くの求職者にとって魅力的だと言えるでしょう。介護の仕事はスタッフ同士の密な連携が必須であるため、良好なコミュニケーションが定着のカギになりそうです。

他業種に比べて低賃金

介護職の給与はその過酷な労働内容の割に非常に安いことは周知の事実です。

平成30年の厚生労働省の調査では、介護職の給与が初の平均30万円越えをしたことが明らかになりましたが、実際のところは賞与や一時金を含めた金額からの算出のため、月給30万円が支給される介護職員は少ないでしょう。

年齢による昇給などもあまり期待できない業界のため、40代でも50代でも20万円前半での雇用スタートとなる企業も多いです。

直接雇用されることのメリットが少ない

介護現場で長期にわたって活躍し、介護福祉士などの資格を取得している介護職は重宝されますが、スキルの高い介護士の多くは派遣会社を通しての就労を選ぶ傾向にあります。

圧倒的に人員が不足しているため、派遣介護士を必要とする現場がなくなる可能性が低いことと、直雇用で働くよりも倍近くの手取りになることもあるからです。

直雇用を経験し現場での人間関係にうんざりするケースもあり、派遣会社を通した方が気が楽と感じる介護士も少なくありません。

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人手不足の課題解決にむけて取り組む7つポイント

ここまで介護業界の人材難に対する内容が続きましたが、それだけ人材確保が難しい状況だということです。少しでも採用率・定着率を上げるために、何ができるのか考えてみましょう。

応募者には事前に業務内容を明確に伝える

まず、離職率が高い原因であるミスマッチを防ぐために、選考時に業務内容をしっかり理解してもらうことが大切です。

特に事前に介護職員初任者研修を受講していない未経験者の場合、「食事介助・入浴介助・排泄介助」といった三大介護についても理解していない可能性が高いので、そこに対する生理的な嫌悪感がないかなども確認が必要です。

また、チームで動くためコミュニケーションが苦手な人も向いていません。

要介護度が比較的高い入居者が多い施設の場合、あまり外部に施設の内部を見せたがらないケースが多いですが、少なくとも採用候補者には現場を見学してもらうことは必要でしょう。施設によっては選考過程で1〜2日現場を体験してもらう制度を取り入れています。

現場の要望を考慮して採用活動を行う

施設によっては募集自体を本社一括で行なっていたり、事務所と現場が離れていることで、採用活動自体が現場での要望を全く考慮していないケースも多いです。人数の穴埋めすることだけが目標になっているため、採用後に現場でのミスマッチが発生し早期離職につながってしまいます。

募集前に現場の要望をヒアリングする、面接に現場の長が同席するなど、現場とのミスマッチをなくすための取り組みが必要です。

入社前・入社後の不安を徹底して取り除く

内定後の辞退や、入社後の早期離職には「漠然とした不安」も大きく影響しています。

特に未経験者の場合、ほとんどが「本当にやっていけるのだろうか」と感じており、体力やフォロー体制、上司や同僚とのコミュニケーション、現場の雰囲気など、「離職のスイッチ」が入る要因には事欠きません。

ですので、内定後・入社後はしっかりコミュニケーションをとり、不安を取り除き道を示してあげる取り組みが必要になります。

特に独り立ちするまでの研修の進め方は大変重要で、ベテランに任せる等の属人的な方法に頼っていると離職する危険性が高くなります。チームで研修を進めるノウハウを構築することが必要です。

表彰式などでモチベーションを上げる

賃金の問題は一朝一夕には解決できません。給料が上がり、昇給・昇格への道筋が明らかならば、長期勤務することのモチベーションになりますが、多くの施設でそれは期待できないでしょう。

そういった場合にモチベーションをあげる方法は職員を承認することです。成果をあげた職員、頑張った職員を表彰し、定性的な面を評価します。

介護現場で数字のような定量的な評価をすることは難しいですが、職員の頑張りを表彰という形で承認してあげることでモチベーションをあげることは可能です。

ITツールの導入で課題を見える化する

ITツールの導入による職場環境の改善も、人手不足を解決するための有効な手段です。
例えば、利用者情報を紙で管理している場合、介護支援システムを導入すればクラウド上での一元管理が可能となります。情報をリアルタイムで更新できるため、職場内でのコミュニケーションがスムーズになって、業務の効率化にもつながります。

また、採用時のマッチ度を高めたいのであれば、採用管理システムを活用するのも一つの手です。応募者管理を効率化しつつ、自社の魅力を十分に伝えられる求人作成が可能で、豊富なノウハウを持つ専門家にサポートしてもらえる場合もあります。

相談窓口を設ける

悩みを抱えた際に解決できる場として、社内あるいは施設内に相談窓口を設けることも重要です。外部の専門家に委託するか、社内で最適な人材を決めて必要なスキルを身に付けてもらいましょう。

相談窓口を設置するだけでなく、従業員に確実に周知することも大切です。
自社に相談窓口があることを知らない人が意外と多いため、担当者や連絡先など、利用に必要な情報とともに伝えましょう。

外国人採用も検討する

日本で仕事を探している外国人を採用する方法もあります。近年、介護・福祉の分野で外国人採用を図る企業が増えており、人手不足を解決するうえで有効な方法となっています。

ただし課題もあり、例えば、在留資格によっては在留期間が決められているため、将来的に帰国しなければならない場合があります。また、文化や価値観が異なるため、受け入れ体制をしっかりと整えて、お互いのことを尊重できる雰囲気を醸成することが必要です。

介護業界で採用マーケティングに成功した事例

株式会社小さな願い様

概要
福岡県で老人ホームの経営や訪問介護事業を行われている「株式会社アメニティライフ様」、採用係長の様々な機能を活用し、採用に至ることができました。

課題
・応募があっても面接に来ない

実施したこと
・会社PR項目を活用し、会社の魅力をアピー
・応募者との連絡にメッセージテンプレートを活用

結果
・応募8件のうち4名を採用できた
・高確率で良い人材を採用できた

事例詳細はこちら

株式会社コリオン様

概要
地域密着で介護事業を展開されている株式会社コリオン様、採用係長の様々な機能を活用し、採用に至ることができました。

課題
・応募があっても面接に来ない

実施したこと
・会社PR項目を活用し、会社の魅力をアピー
・応募者との連絡にメッセージテンプレートを活用

結果
・応募8件のうち4名を採用できた
・高確率で良い人材を採用できた

事例詳細はこちら

まとめ

介護業界の人手不足を解決するためには採用と定着両方の課題を解消する必要がありますが、こと早期退職に関しては採用時のアプローチによって軽減することができます。

なお、採用面でお悩みの介護事業所に、是非一度使っていただきたい採用マーケティングツールが『採用係長』です。

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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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