企業が事業を再構築するにあたって役立つ制度が「事業再構築補助金」です。
新型コロナウイルスによる影響を受けた、あるいはポストコロナに対応するために事業再構築を行う企業にとって最適な補助金だと言えます。
一方で「申請するのが難しそう」「スケジュール感が分からない」といった理由から申請に着手できない企業も多いのではないでしょうか。
今回は、事業再構築補助金のスケジュールの全体像について解説します。
事業再構築補助金の申請に悩んでいる方はぜひ当記事をお役立てください。
目次
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、一言で表すと新型コロナウイルスの影響を受けて事業再構築する企業を支援するための補助金です。
新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編といった思い切った事業再構築に望む中小企業等が対象となります。
【事業再構築補助金の対象企業】
- 中小企業者
- 「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人
- 中堅企業等
【事業類型・補助上限額・補助率】
事業類型 | 補助上限額 | 補助率 |
成長分野進出枠(通常類型) | 6,000万円(7,000万円) | 中小:1/2(2/3) 中堅:1/3(1/2) |
成長分野進出枠(GX進出類型) | 中小:8,000万円(1憶円) 中堅:1憶円(1.5憶円) |
中小:1/2(2/3) 中堅:1/3(1/2) |
コロナ回復加速化枠(通常類型) | 3,000万円 | 中小:2/3 中堅:1/2 |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 1,500万円 | 中小:3/4(2/3) 中堅:2/3(1/2) ()内はコロナ借換要件を満たさない場合 |
サプライチェーン強靭化枠 | 5憶円 | 中小:1/2 中堅:1/3 |
※()内は短期的に大規模な賃上げを行う場合
事業再構築補助金の申請には類型ごとに満たすべき要件がありますが、次の3点については共通の必須要件です。
- 事業再構築要件:「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「事業再編」のいずれかに該当すること
- 金融機関要件:事業計画について金融機関または認定経営革新等支援機関の確認を受けていること
- 付加価値額要件:補助事業終了後3~5年で「付加価値額の年平均成長率3~4%以上増加」または「従業員1人あたりの年平均成長率3~4%以上増加」を達成する見込みの事業計画を策定すること(※)
※率は事業類型によって異なります
通常の募集スケジュール
(出典:事業再構築補助金第12回公募 応募申請の概要|事業再構築補助金事務局)
- 募集開始
経済産業省が公式サイト上で公募要領を公開し、申請の受付が開始されます。
通常、募集開始から申請締切までは2~3か月の期間が設けられます。 - 申請期間
募集開始から申請締切までの間に、事業者は電子申請システムを通じて必要書類を提出します。締切直前は電子申請システムが混雑する可能性があるため、余裕を持って申請することが推奨されます。 - 審査期間
締切後、申請内容の審査が行われます。審査期間は通常2〜3ヶ月程度かかります。 - 採択結果の発表
2〜3ヶ月の審査期間を経て結果が通知され、採択された事業者だけがその後の手続きに進むことができます。 - 交付申請
採択された事業者は、採択結果の発表から約1か月以内に交付申請の手続きを行います。
- 交付決定
交付申請の内容が適切であると認められれば、補助金の交付が決定されます。この決定を受けて、事業者は本格的に事業を開始することができます。
第12回での変更点
第12回の募集において、採択審査の中で「口頭審査」が実施されることになりました。
口頭審査はZoomなどで行われ、事業の「適格性」や「革新性」「優位性」「実現可能性」などがヒアリングされます。
全ての申請事業者が対象になるわけではなく、一定の審査基準を満たした事業者の中から選ばれます。選ばれる明確な基準は不明であるため、申請にあたっては自分たちも対象になる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
第13回のスケジュール
事業再構築補助金の第13回公募のスケジュールについて、過去の傾向と最新の情報を基に予想を立ててみました。ただし、これはあくまで予想であり、実際のスケジュールは公式発表を待つ必要があります。
手続き内容 | 期間(予想) |
公募開始日 | 2024年10月~11月頃 |
申請期間 | 2024年12月〜2025年1月 |
審査結果発表 | 2025年2月~4月 |
交付申請の手続き | 2025年3月~5月 |
※上記は2024年11月時点での「予想」です
スケジュールの根拠について解説します。
公募開始日
第13回の公募開始日は、2024年10月~11月頃と予想されます。
直近の第12回の公募開始が令和6年4月23日、第11回は令和5年8月10日、第10回が令和5年3月30日でした。過去のスパンを踏まえると秋口が目安になるのではないでしょうか。
申請期間
申請期間は、過去の公募と同様に2~3か月になると見込まれます。
公募開始日が2024年10月~11月であれば、申請締切は2024年12月〜2025年1月となるでしょう。
審査結果発表
審査結果の発表時期は、通常であれば申請締切から約2〜3か月後です。
つまり、2025年2月~4月になると予想されます。
交付申請の手続き
審査結果が出たら正式に交付申請を行い、1~2か月後に交付決定となります。結果が出るのは2025年3月~5月を目安にしましょう。
申請準備には1か月以上を要する
事業再構築補助金を申請するまで、その準備には最低でも1か月程度かかることが多いです。審査項目を満たす事業計画書を作成するだけでも時間がかかりますし、事業再構築にかかる費用の見積りなども集めなければなりません。
しかも慣れていないと電子システムへの入力にも時間がかかります。なるべく早いうちに認定支援機関などに相談することがおすすめです。
事業再構築補助金の入金までの流れ
事業再構築補助金の入金までのプロセスは、複数のステップを経て行われます。
ここでは、事業実施から入金までの流れを詳細に解説します。
- 事業実施
交付決定通知を受け取ったら、申請した事業計画に基づいて事業を実施します。
補助事業の実施期間は事業類型に応じて12か月・14か月・28か月です。
交付決定日以降の支出のみが補助対象となるので注意する必要があります。以前までは事業の事前着手届出制度がありましたが、第12回の公募より原則廃止となりました。 - 実績報告
事業完了後、定められた期間内に実績報告書を提出します。
報告書には、事業の成果や支出した経費の詳細な内訳を記載する必要があります。 - 確定検査
実績報告書の提出後、事業者の支出を確認するために事務局による確定検査が行われます。事業が計画通りに実施されたか、経費が適切に使用されたかなどがチェックされます。 - 補助金額の確定通知
確定検査の結果、問題がなければ補助金額の確定通知が送付されます。この通知には、最終的に交付される補助金額が明記されています。 - 補助金の請求
補助金額の確定通知を受け取った後、事業者は補助金の請求手続きを行います。 - 補助金の入金
請求手続き完了後、請求内容に不備がなければ2〜3週間程度で指定口座に補助金が入金されます。入金はこのタイミング、つまり後払いなので、事業者は補助事業を自己資金で行う必要があります。 - 事業化状況報告の提出
次年度からの5年間は「フォローアップ期間」とされ、事業化状況報告を提出する必要があります。報告を怠ると補助金の返還が求められる可能性があるため忘れないようにしましょう。
まとめ
事業再構築補助金は後払いであるため、補助事業の実施を含め、申請から入金まで1年以上かかります。その間にさまざまなステップが発生するため、入金が完了するまでの時間と労力を踏まえて準備を進めましょう。
また、事業計画書は取組内容や収益計画をはじめさまざまな審査項目を盛り込む必要があるので、早めに準備に取り掛かること、そして必要に応じて専門家に頼ることがおすすめです。ぜひ事業再構築補助金を上手に活用して、企業の中長期的な成長につなげてください。
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