企業が実践する3つの定着対策とは?給与アップだけでは離職者は減らない

退職届

人材不足を乗り切る一手として、採用だけでなく、人材の定着対策に取り組む企業が増えているのはご存知でしょうか。

最近では従業員が離職を考えるよりも先に「長く続けたいと思える会社づくり」を意識することで離職を防ぎ定着率を上げようとする企業が増加しております。

社員が高いモチベーションを維持しながら、長く働きたいと思える会社づくりとは、いったいどのような取り組みでしょうか。AI(機械学習)で採用候補者の入社後活躍・退職確率を予測する将来予測型ピープルアナリティクスサービス「TRANS.HR」を展開する株式会社トランス様が行った「HRファクトフルネス」調査を軸に、離職対策に必要な対策を解説したいと思います。また、企業が実践する3つの定着対策についてもご紹介したいと思います。

給与と離職の関係性からみえる定着の鍵

株式会社トランス様が行った「HRファクトフルネス」とは、26歳から79歳までの会社役員1000人を対象にしたインターネット調査で、勘や経験に基づく思い込みや過去の常識にどれくらい囚われているかを分析したものです。その調査によると、「従業員の給与を増やせば退職者は減ると思う」と答えた企業の役員は74%にも上り、従業員の「給与」を増やすことで退職者は減ると考えている会社役員が多い結果となりました。

一方で、若手社員1000人を対象とした給与と退職との関係に関する調査では、総合的にみて「給与をあげることが退職率の抑制に直接結びつかない」というデータが算出されました。

具体的に、この若手社員を対象とした調査では、1年間での給与上昇回数と退職率の相関関係を分析しました。退職率が最も高かったのは、上昇回数が「0.75~1.00」の割合で、次いで「1.00~1.25」となり、逆に最も低かったのが「~0.25」の上昇率でした。この結果をみると、最も評価が高く給与が上昇している人と、あまり評価されていない人の退職率は低く、その中間(2番手の評価を受けた人)の退職率がもっとも高い傾向となりました。

データ参照元:株式会社トランス様

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優秀な2番手が退職しやすい結果に

一般的に、組織において最も活躍している人は、表彰を受けたり、新しいプロジェクトに抜擢されたりと、注目されることが多く、高いモチベーションを維持し続けます。しかし、第2位や第3位のポジションになると、表彰もなく、社内での注目度もそれほど高くはありません。優秀な人材にも関わらず、社内での注目度が低ければ、高いモチベーションを保つことは難しくなります。また、1位ではないにせよ、優秀な上位層である人材であることで、外部からの引き合いも多く、他社への転職しがちな点でも、離職率が高まる傾向にあります。

この現状を正確に認識していないことで、多くの経営者や役員が間違った認識をもって、意思決定ををしている恐れがあります。

データ参照元:株式会社トランス様

社員が定着するための解決策をどう探すのか

社員がモチベーションを保ち、良いパフォーマンスを継続するには、給与だけではない、新しい取り組みや制度が必要です。社員たちはどんな制度や待遇を望んでいるのでしょうか。タテのコミュニケーション(経営層と社員、または上司と部下の関係)の他、ヨコのコミュニケーション(同僚や同期同士の関係)も活性化させ、社員のニーズを探りながら、独自の制度や待遇を生む企業が増えています。一方的な経営層の取り組みではなく、会社全体が社員の働きやすさや働き方の改善に取り組むのが、現代の企業の主流になりつつあります。

全社員を対象とした改革もありますが、年代や社歴、役割、仕事内容によって、細かな制度や待遇を設ける動きも盛んです。

実際に企業が実践し、効果的な定着対策となっている事例をいくつかご紹介しましょう。

企業が実践する3つの定着対策

売り上げだけではない、独自の表彰制度

表彰と聞くと、これまでは営業職だけの制度と思われてきましたが、最近は営業サポートチームや総務、内勤チームなど、会社を支える様々なポジションを対象とした表彰制度を導入している企業も増えました。「新しい取り組みやコスト削減を実現した」「社内投票で賞を上げたいメンバーを選ぶ」など、売り上げだけではない独自の視点で、それぞれのポジションを広く表彰しています。

また、1位だけにスポットを当てるのではなく、上位5名まで表彰の幅を広げたり、「新人賞」「顧客件数賞」など売上成績以外での評価軸を取り入れることで優秀な二番手人材や目に見えにくい貢献をしてくれている人材の流出を防ぐ取り組みをしている会社もあります。

若手社員だけのプロジェクトチーム

もっと若手の意見を取り入れた商品開発や、組織づくりをしたいと望んでも、会議の場で新人や若手社員はなかなか発言しづらいものです。そんな声を反映して、入社3年以下の若手社員だけで新商品やプロジェクト会議の場をつくる企業も増えています。ベテラン社員にはない、フレッシュで自由なアイデアが生まれる場所として、業界問わずに、多くの企業で導入されています。入社後の早い段階から、会社のコアな業務に携われることで、高いモチベーションにも繋がっていきます。

成長を意欲をサポートする「書籍購入制度」や「資格手当」

専門職の分野では、資格取得にかかる受験代などを資格手当として支給する企業は、これまでも多くありました。最近では、自己成長意欲をサポートする一環として、ビジネス書やエクセルやパワーポイントなどの解説書など、社員の学ぶ意欲をサポートする「書籍購入制度」を取り入れる企業も増えています。

また、業界によっては、資格取得へ向けた勉強時間も業務中にしっかりと確保でき、社員をバックアップする体制を整える企業もあります。

また、直接業務に関係のないような資格(趣味のパン作りや園芸・各種検定など)でも、取得にかかる費用の一定額を負担してくれる制度を導入する企業もあります。

最高の状態で業務に取り組んでもらうためには、プライベートの充実も不可欠であると考える企業が増えていることが要因としてあります。

まとめ

働きやすく、長く続けたいと思える職場や制度が生まれることで、採用にも大きなPRポイントとなります。持続的な企業成長には今回ご紹介したように人材の定着と新規での採用活動との両輪が大事です。

これを機に新規での採用活動と並行しながら、採用者の定着対策にも取り組んでみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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