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知らないと恥をかく求人票の著作権について詳しく解説

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[公開日]2021.03.19
[更新日]2021.03.19
求人票 著作権

「この間掲載した求人広告のフレーズが気に入ったから、自社の採用ホームページに使いたい」
「応募がとても多かった原稿を、そのまま別の媒体で載せたい」

このように考えたことのある採用担当者の方も、多いのではないでしょうか。

本記事では、

  • そもそも求人票に著作権はあるのか
  • 写真の著作権や肖像権はどうなのか
  • 求人広告を別の求人媒体に使い回せるのか など

求人票の著作権にまつわる気になるポイントを詳しく解説します。

求人票の著作権の基礎知識

まず、制作物には基本的に著作権が発生します。求人票も誰かがキャッチコピーを考え、写真を撮り、イラストを書く、デザインするなどの工程を経て作成されています。

文章・写真・イラストなど、人が創意工夫して作ったものには著作権が発生します。

たとえ自社の求人内容であっても誰が作った原稿なのか、あるいは求人媒体の規約によっても著作権の帰属先が異なります。そのため、「うちの求人票だからどこに使ってもいい」という考えで使い回すのは避けましょう。

あくまで「作った人」に帰属するのが著作権だということを覚えておくのがおすすめです。
仮にどうしてもその求人票を使いたいという場合は、交渉をして相手から許諾を取るようにしましょう。その著作権者から許諾がもらえれば、使用しても問題はありません。

「文章に著作権が発生するなら、募集要項などの条件面にも著作権が発生するのでは」という疑問を持つ方もいるでしょう。
しかし、著作権は創意工夫がされているかどうかが判断の基準となるため、募集要項のような条件が事実として羅列されているだけの文章であれば、使い回しても問題がないことが多いです。

著作権侵害による法的罰則

著作権侵害の罪は重く、平成19年7月1日には懲役刑・罰金刑ともに罰則が引き上げられています。

下記に強化された罰則を引用しています。
法人の場合は懲役刑が10年以下の懲役、罰金が3億円以下の罰金となります。また、これに加えて著作権を侵害された企業から損害賠償請求がされる可能性もあります。

かかる金額も大きいですが、著作権で訴えられた場合は懲役を伴う犯罪となるため、企業倫理を疑われ、企業イメージに大きく影響する可能性もあります。

■ 著作権侵害等に係る罰則の強化

著作権等侵害罪の懲役刑及び罰金刑,並びに秘密保持命令違反罪の法人処罰に係る罰金刑の上限について,特許法等と同様の水準に引き上げられました。(第119条第1項及び第124条関係)
(懲役刑) 5年以下の懲役 → 10年以下の懲役
(罰金刑) 個人:500万円以下の罰金 → 1,000万円以下の罰金
法人:1億5,000万円以下の罰金 → 3億円以下の罰金

出典:文化庁ホームページ 「著作権法の一部を改正する法律の制定について」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h18_hokaisei/

商標権に関して

求人票を掲載する前に著作権と関連してチェックしたい項目として、商標権があります。商標登録されたロゴやマーク、キャラクターなどのデザインや文言などがこれに該当します。

こちらは商標の登録者以外が使用することや、場合によっては写真への映り込みなども問題になり、損害賠償請求をされる可能性もあるため、注意が必要です。
商標登録されているものを確認できるサイトなどで、事前に確認しておくようにしましょう。

求人票の写真の著作権と肖像権について

次に、求人票の写真の著作権と肖像権についてご紹介します。

写真の著作権

写真は創意工夫という曖昧な線引きではなく、「撮影者」に著作権が帰属します。そのため、撮影者の許諾が取れない場合は求人票に使用できません。

求人広告に使う写真の場合、以下の3つに大別されます。

  • 「求人媒体側の担当者が撮るケース」
  • 「求人媒体側がプロのカメラマンに委託して撮影するケース」
  • 「自社で写真を撮影するケース」

ここで著作権の問題がないのは3つ目の「自社が撮影し、提供しているケース」です。それ以外のケースについては、求人媒体側に確認を取りましょう。
求人媒体側と委託されたカメラマンとの契約によって、著作権者が異なる場合もあるので細やかな確認が必要です。

プロのカメラマンに依頼して自社で撮影した写真の場合は、著作権を自社に帰属させる契約を交わしているか、またはどのような用途・範囲で使える契約なのかを確認しましょう。

写真の肖像権

写真でもう1つ問題になる可能性があるのは、肖像権です。肖像権に関しては「撮られた人(被写体側)」に帰属します。
自社の求人票に載っている写真であるため、おそらく自社の社員であることが多いはずですが、写っている一人ひとりに確認が必要です。「集合写真で小さいから大丈夫」と思ったとしても、撮られた側の人に求人広告に使うという許諾を得ていない限り、使わないことをおすすめします。

最近では個人でも肖像権や著作権に関する意識が高まっているため、トラブルになる可能性もあります。従業員だから大丈夫と安易に考えず、きちんと個人の権利を重視した対応を行いましょう。

モデルに依頼した場合は、モデルの許諾が必要です。もし既に退職した従業員が写っている場合は、その写真を使用しても問題ないか、本人に使用する用途と範囲を示した上で許諾を取っておきましょう。

用途や範囲が変わる度に写真の著作権や肖像権について許諾を取るのは非常に時間がかかるため、写真を撮影する際には、使用用途や期限などをできるだけ設けない契約を交わしておくのがおすすめです。

従業員に対しても、退職後のことも含めて、写真使用に関する契約を交わしておくと良いでしょう。

文章と異なり、写真に関しては著作権・肖像権の両方がクリアにならないと使用できないため、両方の許諾を取り忘れることのないよう、注意が必要です。

求人広告の使い回しについて

ここまで、著作権・肖像権などの問題で求人広告の使い回しには著作権元の確認や許諾が必要であることをご説明しました。しかし許諾が取れたとしても、なるべく求人広告に含まれている文章・写真・イラストなどを頻繁に使い回すのは避けることをおすすめします。

その理由は下記3つです。

  1. ずっと求人を出している、つまり離職率の高い企業か人気のない企業だと思われる可能性
  2. 求人媒体ごとの特徴を無視して使い回した結果、特徴を活かせずに効果が出ない可能性
  3. 初回掲載時の採用市況とずれた条件のまま掲載されてしまう可能性

1・3は求職者にとって就職したくない企業というイメージを植え付けてしまう懸念がありますし、2はそもそも求人広告の効果を落とす可能性さえあります。

求人票の使い回しについては著作権・肖像権の問題だけでなく、こういった観点からも使い回しをせず、新たに制作することをおすすめします。

まとめ

求人票・求人広告の著作権について詳しくご紹介しました。知らないと危険な著作権・肖像権も、今回ご紹介したような知識を身につけておけば安心です。

契約内容や著作権の帰属先を事前に確認しておき、いざというときにもスムーズに対応できる体制を整えておきましょう。

この記事を書いた人

高下真美

高下真美

人材紹介・派遣ベンチャーで2年、その後リクルートジョブズで8年営業を経験し、フリーライターに転身。そこで得たさまざまな業界の知識と経験を活かし、現在は導入事例・採用ページなどのインタビューからSEO記事まで多方面で活動中。

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